異業種転職後に固定されていく役割の構造
頼られる位置の発生
異業種に転職してしばらくすると、評価という言葉よりも先に「頼られる場面」が増えていきます。最初は歓迎として受け取られます。前職での経験がある人として、分からないことを聞かれる。トラブルが起きたときに声がかかる。物流の知識がある人、という位置づけです。
役割のずれ
この段階では、評価が下がったわけではありません。むしろ、組織の中で役割が見え始めています。ただし、その役割は「新しい職種として期待されている役割」とは少しずつずれていきます。本来は別の業務で成果を出すために採用されていても、実際に使われるのは前職の延長線にある場面です。
使われ方の固定
やがて、その使われ方が固定されます。何か起きたときに呼ばれる人。急ぎの案件で確認される人。過去のやり方を知っている人。本人が望んだかどうかに関係なく、組織は安定した配置を好みます。一度うまく回った役割は、変更されにくくなります。
代替可能性の見えにくさ
このとき、代替可能性が見えにくくなります。物流の知識を持っている人は他にいない、という状態は一見すると強みに見えます。しかし、同時に、その知識を使う役割から外れにくくなります。別の仕事に手を伸ばそうとしても、「それは別の人がやる」と線が引かれることがあります。能力の問題ではなく、配置の問題です。
評価軸の停滞
評価軸も変わりません。新しい分野でどれだけ工夫しても、評価されるのは「前と同じ場面で、どれだけ助けになったか」です。
成長していないわけではありませんが、成長が測定される軸が更新されません。結果として、前職の経験は資産として積み上がるというより、都度消費されていきます。
構造として起きていること
ここで起きているのは、否定でも搾取でもありません。組織が合理的に役割を固定しているだけです。本人の努力や能力とは別のところで、使われ方が決まっていきます。その構造は、入社直後よりも、時間が経つほど強くなります。
問いの残り方
この経験は、将来も評価される資産か、それとも今だけの便利道具か?
結論を置かない構成
この記事では、結論や最適解は示していません。
それは、40代のキャリアや選択は、立場や条件によって前提が大きく異なるためです。
ここで何かを決める必要はありません。
読んだ内容を踏まえたうえで、考えるのをやめても、別の視点に戻っても構いません。
全体の構造を確認したい場合は、入口のページに戻ってください。

